フリーランス美容師として個人事業をしている方なら「インボイス制度について影響があるのか、それとも無いのか」調べたり税務署へ確認したりしている方がいると思います。
そこで今回は、フリーランス美容師としての情報をまとめました。
【はじめに】年間の課税売上が1000万円未満の方は制度から除外される
確定申告時に年間の課税売上が1000万円未満の方は「免税事業者=消費税の仕入れ控除免税事業者」となりますので、「消費税の仕入れ税額控除方式(インボイス制度)」がそもそも当てはまらず免除されます。(インボイス制度の影響は多くありません。)
商取引には一部を除いて消費税が課されています。消費税は「消費者から預かった税金」で、国に納税する義務があります。ただし、現在「1年間の課税売上高が1,000万円以下の事業者」については納税が免除されています。これが消費税の免税事業者です。消費税を納めていない事業者である免税事業者はインボイス制度から除外され、適格請求書を発行することができません。
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一方で、薬剤仕入等の仕入先(消費税の仕入れ税額控除方式(インボイス制度)の発行事業者)と個人契約している場合や、シェアサロンと歩合制契約を結んでいる方は、多少の影響が考えられます。(この場合の歩合制契約とは、お客様の売上をスタイリスト本人が直接管理するのではなく、サロン側へ入金し、後日差し引かれた状態で「報酬または業務委託の給与として受け取っている」場合のことです。)
【フリーランス美容師は買い手】理解するために「売り手」と「買い手」の表記で分かりやすく説明します。
売り手である事業者(シェアサロン運営会社や薬剤販売会社)が、消費税の仕入れ税額控除方式=インボイス制度の発行事業者の場合の説明です。要するにシェアサロン側が売り手です。理由としてはフリーランス美容師にサービスを提供している(販売または売っている)側になるため、税制上は「売り手」になります。その相手先なのでフリーランス美容師は「買い手」となります。
買い手であるフリーランス美容師が消費税の仕入れ税額控除方式=インボイス制度の発行事業者でない、または消費税の免税事業者だと、控除の要件を満たさず売り手側が税控除を受けられなくなります。(インボイス制度とは、課税事業者双方の取引を突き合わせる事ともいわれています)
まとめると「サロン側は課税される事業者で、フリーランス美容師は免税事業者」となります。(年間売上1000万円以下の場合)
結果として、インボイス制度が始まると1000万円以下の免税事業者であるフリーランス美容師からは、今まで相殺していた消費税分の控除が得られなくなってしまうため、売り手としては不足分を埋める対策を行う可能性が高くなってきます。
インボイス制度は売り手側の影響が多くなる制度
インボイス制度は、売り手側の影響が多くなる制度ですので、注意して取引を行ってください。理由としては、消費税を納める義務がないフリーランス美容師や免税事業者が今回の制度理由で不利になることは税務署でも禁止しているからです。
お客様からの売上はどうなる?
一方で、フリーランス美容師は一般消費者(お客様=事業者ではない)から売上を得ているため、お客様のみを対象にしているフリーランス美容師であればお客様に向けての対応はありません。一方で、会社の経費としてお客様が領収書を求められている場合は、先ほどの突き合わせが出来なくなるため今までのような消費税額税控除が適用されなくなります。
※シェアサロン側が消費税の納付義務がある課税事業者(適格請求書発行事業者)の説明は省略します。
11月22日発表の「新たに課税事業者転換なら3年間は納付2割に」インボイス特例について
2023年10月に導入される消費税のインボイス制度について、フリーランスなどの小規模事業者の負担を抑える特例を、期限付きでつくる方針を固めました。現在は案の段階ではあるものの、方針を示したことで制度開始までに内容をまとめて、いままで「免税事業者」だった事業者が新たに「課税事業者」に転換した場合、売上税額の2割を納めれば済む方向で3年間の期限付き制度を設ける方針です。
フリーランス美容師の場合、簡易課税の仕入れ率は50%であるため、例えば売上高が600万円で消費税率10%の場合、売上税額60万円から50%を引いた30万円になります。特例では、納付額は売上税額60万円の2割で12万円になります。
この特例以外にも、政府・与党は「少額の取引についてインボイスがなくても控除を認める特例」を盛り込む方針であることもわかりました。
一方で、フリーランス美容師の年間売上1000万円以下の免税事業者が税負担のある課税事業者に変更するデメリットもあるため、税負担の金額をどのように扱うか自身の年間売上額を把握した上で、シェアサロン側との交渉が必要になるケースが出てくると思います。
お客様が会社の経費で美容技術料金を支払っている場合
領収書での税控除が受けられない(担当美容師が適格請求書発行事業者でない)ことがあります。解決策としては、適格請求書発行事業者になることですが、先ほどの課税売上1000万円以下の場合、免除されていた消費税の納税義務が発生します。
まとめ
確定申告時に年間の課税売上が1000万円を超える場合は、その翌年から消費税の納付義務がある課税事業者となります。フリーランス美容師の場合は、この条件に当てはまる場合、大まかにですがインボイス制度の発行事業者として手続きの必要が出てきます。(消費税の仕入れ税額控除ができなくなる為)
また、課税事業者になっても、インボイス制度が導入される2023年10月1日から適格請求書を発行するためには、2023年3月31日までに税務署へ「適格請求書発行事業者」の登録申請書を提出する必要があるため、忘れずに提出しましょう。
今回のインボイス制度は個人事業主を含む「課税事業者」が多くの影響を受ける制度ですので、詳しくは国税庁の電話相談窓口をご確認ください。
国税庁インボイス制度公表サイト↓
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
サロンワークステーションは利用料だけを支払うシェアサロン
通常の美容室の場合、お客様の売上をサロンのレジに入金し、そこから給与としてスタイリストの手元に渡ると思いますが、サロンワークステーションは、場代として利用料を頂くシステムです。
スタイリストは、お客様の売上を直接管理するような仕組みのため、サロン側か売上金額に対してインボイス制度の影響で上乗せされる事もありません。
来年度から、経費を抑えて売り上げを伸ばしたいフリーランス美容師の方にも使いやすいサロンとして継続していきたいと考えています。